一人焼肉のハードルは高くない

 
妻が遅い日であったり、家で食べるのが面倒だったりする日は、外食をすることがあります。

あまり群れて食事をするのが好きではないので、殆どの場合単独で食事をします。
どんな店でもあまり気にせず入っていくのですが、焼肉屋はなんとなく抵抗がありました。

なぜなんだろうと考えた時に、最近は一人用の店なんかも出てきてはいますが、やはり一つの鉄板を囲んで複数人でワイワイと食べるものというイメージがあるのだと思います。
それが、バーベキューで迷惑に騒いでいるようなパーティーピーポーを連想させ、お一人様お断りのような印象を勝手に作っていたのでしょう。

そのような話を妻にし、
「やはり一人で焼肉屋に入るのはハードルが高いよね~」というと妻は、
「なんでだ?その時食べたかったら入ったらいいんじゃないの? 別に誰も他のお客さんのことなんて気にしてないよ」と答えたのです。

そう言われ、なるほどと思ったのです。
確かに食べたかったら食べたらいいだけの話ではないかと。

そこである日、妻が出張で不在という日があり、その日は肉を食べたいなという腹具合でした。
最近体に優しいものを続けて食べていましたが、その日はどうしても肉を採りたい心情だったのです。

店を物色し、一人用カウンターの多い店もありましたが、あえて普通の焼肉屋に入りました。
カウンターよりもテーブルでゆったりしたいなと思ったからですが、タイミングよく空いていたテーブル席に案内されました。

ふうと一息ついて周りを見渡すと、一人客は自分だけでした。
お酒も入り、どんちゃん騒ぎのような様相で、最初はやはり場違いなのではと気後れしてしまいました。

しかし、注文が届き、肉を焼く段になると、周りが気にしてようとなかろうと、そんなことは最早どうでもよくなってきました。
好きな部位を好きなタイミングで焼き、好きなタイミングで食べ、周りのスピードや好みに合わせる必要もありません。
思ったよりも快適に焼肉を楽しむことができ、自分のペースで満喫することができたのです。

最初はさっさと出ようかなどと考えていたのですが、肉の追加もし、何も気にせずにゆったりと食事を楽しんでいました。
周りにつられて飲み過ぎ、食べ過ぎとなることもなく、満ち足りた気持ちで店を出ました。

思った以上の良い結果を得られたことに満足し、これから気になる店が見つかった時は、何も気にせず入ってみようと思ったのでした。

 

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